石巻日日新聞

75年前の新聞に平和の思い 平和考えるきっかけに

石巻日日新聞 2016年12月27日(火)

 安倍晋三首相が日本時間の28日午前、米国ハワイ州オワフ島の真珠湾にあるアリゾナ記念館で献花を行い、第二次世界大戦の犠牲者を慰霊する。先の大戦の引き金となった日本軍による真珠湾攻撃(昭和16年12月8日)。二度と繰り返してはならない惨禍の始まりを伝えた当時の新聞記事を石巻市北村の元女川高校校長の佐々木慶一郎さん(69)が保有している。新聞を手に佐々木さんは「冷静な気持ちで紙面を見ると世界を相手に戦うという狂気を感じる」と語っていた。
 佐々木さんは第二次世界大戦中の軍事から庶民生活にいたる多様なものを集め、展示する平和資料館を開設している。
 真珠湾攻撃に関する新聞は、翌日の昭和16年12月9日付の「南支日報」など。中国の南部で日本人向けに発行されていたと思われる新聞で、見出しには「大本営発表 帝国・米英軍と戦闘状態に入る」「宣戦布告の詔書渙発」「我奇襲作戦成功!」などと記され、本文では勇ましい戦果を伝えている。
 このほか国内で発行された全国紙にも12月19日付で「米太平洋艦隊は全滅せり」「我無敵海軍の大戦果」などの大見出しが並ぶ。17年1月13日付の南支日報では海軍本部提供の航空写真を紹介している。
 佐々木さんは南支日報を手に取り、「泥沼化した中国大陸の戦地にいる兵士はこれにより、日米開戦を知ったのではないか」と分析する。
 今回、現職としては初の安倍首相によるアリゾナ記念館への訪問と慰霊については「今年はオバマ大統領の広島訪問もあった。犠牲者への慰霊は必ず行うべき。悲劇を再び起こさないためにも若い人たちにも戦争を考えるきっかけにしてもらいたい」と話していた。

【写真】自宅で当時の紙面を眺める佐々木さん

最終更新:2016年12月27日(火)

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