石巻日日新聞

月浜の小正月えんずのわり 男児3人元気な声で地域に福

石巻日日新聞 1月16日(月) 配信

 国指定重要無形民俗文化財の小正月行事「えんずのわり」が東松島市宮戸月浜地区で行われた。14日夜は行事を担う地元の男児が家々を回り、家内安全や大漁豊作を祈願する鳥追いを繰り広げた。

 えんずのわりは、東松島市西部の宮戸地区の月浜で行われてきた伝統行事。名前の由来は「意地の悪い」という意味の方言で、農作物を荒らす鳥を追い払うことが目的という。

 毎年、地元の男子小中学生が11日から地区内の五十鈴神社脇の岩屋にこもり、鳥追い行事に備えて身を清めるのが習わしとなっている。今年は小学3、4、5年生の3人が共同生活を送ってきた。

 14日は日が暮れると、子どもたちが鳥追いを前に神社を参拝し、その後、地区内の民宿や民家を回った。玄関の中や縁側の前に立ち並び、自作した神木を地面に打ち付けて「えーえーえー、えんずのわりとーりょうば、かずらわってすおつけて(意地の悪い鳥を頭割って塩つけて)…」などと唱えて1年の安寧を祈願した。

■2年後は2人だけに
 今年も子どもたちの元気な節回しが地域に響いたが、参加児童数は3人。元々の少子化に加え、震災で甚大な被害を受けた月浜から転居した世帯が相次いだためだ。約200年以上伝承されてきた地域行事をいかに存続させるかが課題となっている。

 今回の3人のうちリーダーである「大将」を務めた鈴木凛生さん(11)=宮野森小5年生=は今年、月浜から引っ越すことが決まっている。鈴木さんは「はじめは大将をやるのが不安だったけど、皆と一緒にいて楽しかった」と話す。無事に終えた鳥追い行事に安ど感を見せながら、後輩たちに「来年から自分は出られなくなると思うので、協力して頑張ってほしい」と思いを込めた。

 なお来年のえんずのわりは、今回参加できなかった中学2年生と小学生2人で合計3人。再来年は現小学生の2人だけとなる。今後、地区内で子どもが増えることは見込めず、伝統行事の存続に頭を悩ませる住民は多い。

 えんずのわり保存会の小野勝見会長(67)は「何とか継続させたいと考えているが、難しい。年代を広げたり他地区からの協力を得るなど、今後、方策を検討したい」と話していた。

【写真】厳しい寒さの中、地域安寧などを鳥追い行事で祈願する子どもたち

最終更新:1月16日(月)

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