復興樹オリーブ大きく育て 北限の産地目指し研究会
石巻日日新聞 2017年2月1日(水) 国内消費量の増すオリーブを東日本大震災からの「復興樹」として栽培し、石巻市を国内における北限の産地とするための産学官民連携の研究会が、1月30日に設立された。
地域の活性化に向けた新しい地域資源として栽培から加工、商品開発、販売までの6次産業化へ取り組む市の「地域の宝研究開発事業」の一環。2020年東京五輪・パラリンピックでメダリストへ贈る「オリーブ冠」に提供することも目指す。
設立された組織は石巻市をはじめ県、復興庁、農業関係団体、大学などからの代表者で構成する「石巻市北限オリーブ研究会」。JAいしのまき農業情報センターであった設立総会で、会長に選ばれた市の阪井聡至復興担当審議監は「震災から5年が過ぎると市外の被災地に向ける目、とくにビジネスの分野は厳しくなる。主役は皆さんであり、市としてもできることを考えていく」とあいさつした。
研究会には先進地の香川県小豆島町から、(株)農業生産法人アライオリーブ代表園主の荒井伸政さんが顧問として参画。市は、東京五輪に全国で栽培されたオリーブの冠を提供しようという香川県の動きに注目しており、設立総会後には荒井さんによるオリーブ冠の製作指導もあった。
オリーブは健康や美容効果が注目され、輸入量はこの20年間で約10倍、金額は約15倍に伸長。実や果汁、葉、木、枝に至るまで活用可能で、オリーブを餌にした畜産物や養殖魚のブランド化事例がある。栽培にあまり手間がかからない一方で樹齢は100年以上と、持続的な経営や雇用創出が期待できる。
市内では復興庁の声掛けで、26年7月に試験的な植え付けを始めた。4団体に管理を委託しており、28年度は北上、河北・大川、雄勝、牡鹿・網地島の計6千平方メートル145本まで栽培を拡大。昨年に初めて実を付け、今年3―4月には北上と雄勝でさらに350本を植える予定だ。
ただし、まとまった収穫ができるのは定植から5年後の見込み。研究会では栽培技術・生産、特産品開発・6次産業化、震災復興活用の3つの部会を立ち上げ、地域ブランドとして着実に育成していく考えだ。
【写真】試作したオリーブ冠をかぶる研究会のメンバーら
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