石巻日日新聞

長面の奇祭アンバサン 復興ススみますように

2017/2/7
 顔にすすを塗って地域の無病息災や大漁豊作などを祈願する石巻市長面地区の伝統行事「アンバサン」が5日、石巻市長面の北野神社末社・大杉神社(高橋範英宮司)で行われた。震災の影響で同地区を離れた住民たちが、ふるさとの祭りで再会し大漁や五穀豊穣を祈った。

 アンバ(安波)は各地の漁村で信仰される神。大杉神社は安波山とも呼ばれ、祭りは300年以上の歴史がある。毎年2月8日の前後の日曜日に行われており、今年も氏子や地域を離れた住民ら約40人が集まった。

 高台の境内での厳かな神事の後、高橋宮司が輪切りの大根にすすを付けて参列者の額や頬に塗りつけていった。参列者同士でも塗り合い次々に黒い顔になると、境内には明るい笑い声と笑顔が広がった。

 参列者たちはすすを付けたまま境内から海に向かって「安波大杉大明神。悪魔をはろうて、ヨーヤナ、ヨーヤ、ヨーヤ、ヨーヤナー、大漁大漁大漁ダー、満作満作満作ダー」と三唱。最後に餅や菓子をまいて締めくくった。

 かつては、地域に嫁いできた女性にすすを付ける習わしで、無礼講のこの日は子どもたちも地区内の道行く人にすすを塗っていたという。過疎が進んだこともあり、参列者同士で付け合うようになり、震災後は復興を併せて祈願し、住民たちが再会する機会にもなっている。

 高橋宮司は「参列者は震災の影響で一時減少したものの、落ち着いた生活を取り戻した人たちでここ数年は増えている」と話していた。

 震災により石巻市鹿又に転居した松川順子さん(35)は長女の美桜ちゃん(6)と参加した。「震災時、生後7カ月だった娘が元気に育ってくれた。大好きだった長面のことを少しずつ娘にも教えていきたい」と話し、美桜ちゃんは「びっくりしたけど楽しかった。また参加したい」と黒い頬で笑顔をみせていた。

【写真】宮司が参列者の額や頬にすすを付けていった

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