石巻日日新聞

複合文化施設 基本設計WS 間仕切りで中ホールに利用

石巻日日新聞 2017年2月22日(水)

 (仮称)石巻市複合文化施設の基本設計に関する第2回ワークショップが20日、石巻中央公民館で開かれた。前回意見を踏まえて設計者が、大ホールの間仕切りによる中ホール利用や、小ホールにロールバックチェアを導入した上でロビーとホワイエ(休憩室)との一体利用を可能とする案などを提示した。市民、関係者らが施設の機能ごと4つのテーブルでさらなる意見を交わした。

 同施設は東日本大震災で被災するなどした文化センターと市民会館の代替施設で、開成地区に整備する。大ホールと小ホール、生涯学習と博物館機能も備える計画で、基本設計が(株)藤本壮介建築設計事務所=東京都=、展示の基本計画などは乃村工藝社=同=が担う。概算事業費は約100億円で平成32年度末の完成を目指す。

 今月1日にあった初回の説明会では業者提案に対し、第3の機能となる中ホールや神楽披露などで活用できる四方鑑賞型の舞台などに関する意見が寄せられた。

 第2回の20日のワークショップには市民や関係者ら約50人が参加した。はじめに設計者が前回からの変更点を説明。大ホールと小ホールで大きな変更があり、小ホールは照明やどん帳などを吊るためのフライタワーをなくし、使いやすさと柔軟性を考慮。全面利用や共用空間との一体利用に対応した案を示した。

 一方で大ホールはフライタワーを維持し、機能面でも小ホールと差別化。ただし、1321席では敷居が高く、市民の気軽な利用が難しいことが想定されるため、間仕切りにより553席の中ホールとしても使用できる工夫が加えられた。

 その後は参加者が大ホール、小ホール、展示エリア、生涯学習スペースの4グループに分かれて座談会を進めた。変更案はおおむね評価されたが、小ホールでは「火の使用を可能にすれば利用法が広がり、披露宴や災害時にも活用できる」との提案があった。また展示では「展示のアドバイスができる学芸員を常駐してほしい」、生涯学習は石巻らしさを求め、「展示室だけでなく、ロビーにも高橋英吉の彫刻があってもいい」などのアイデアが出た。

 設計者代表の藤本壮介氏は「我々では気付かない使う側の実感にあふれた意見が多くあった。また修正して提案させていただきたい」とあいさつ。参加者は「意見を誠実に取り入れてもらっていて前向きに議論できている。関わることで完成後の愛着も沸くと思うのでもっと多くの人が集まってくれたらいい」と盛り上がりを期待した。

 ワークショップは今後も複数回行う予定で、次回は3月27日の日程で調整している。

【写真】多くの市民らが訪れ、関係者と意見を交わした

最終更新:2017年2月22日(水)

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