ミニ開発ブームで相次ぐ住民要望 人口急増の河南地区
石巻日日新聞 2017年2月23日(木) 東日本大震災後の石巻市で唯一、人口が増加している石巻市の河南地区。住まいを被災した人の宅地需要を受けて、ここ数年相次いでいるのが開発行為の認可が不要なミニ開発だ。農地を転用した宅地が多いのが特徴で、河南総合支所には、造成地に隣接した道路の舗装など生活環境改善の住民要望が数多く寄せられている。
河南地区の昨年末の人口は1万9443人、世帯数は6906世帯で、震災前の平成23年2月末より、人口で12%、世帯数で25%増加。商業施設が集積している鹿又、広渕で特に住宅が増えている。
開発行為は原則、県知事などの許可が必要で、事前に行政と道路や下水道の整備などで協議しなければならない。ただし、都市計画区域の市街化区域で1千平方メートル未満、都市計画区域外は1万平方メートル未満の小規模であれば許可は必要ない。
河南地区は広渕と須江の一部を除き都市計画区域外となっている。1万平方メートル以上の宅地開発は震災後もまれで、多くは許可が不要なミニ開発。総合支所が把握しているだけで30カ所以上あり、現場に行って初めて宅地開発だと分かることも少なくない。
主に幹線道路から奥まった以前の農地で、住宅につながる道路が狭く未舗装だったり、造成時の作業用道路そのままだったりする。不便なまま居住が始まり、「軽トラックしか走っていなかった道に、3ナンバーの乗用車が通っている状況」という。
こうした道路などの整備は業者がやるべきだが、「後で行政が直してくれるから」といって販売しているケースもあるようだ。河南総合支所地域振興課は「業者から事前に相談があれば、それなりに対応できるのだが」というが、許可の要らないミニ開発は行政が何かを命令できるものではない。
住民から総合支所に寄せられる道路の舗装や側溝の改良、街路灯の整備などの要望は増加傾向にある。27年度の128件に対して、28年度は12月までに147件となった。
生活のインフラがない農地だっただけにその改善には費用がかかるが、こうした要望に対応する総合支所対策費は年3千万円。新しい住民だけでなく従前の住民からの要望もあり、市は当面、優先順位を付けて対応していく考えだ。
【写真】用水路脇の農地を転用した宅地
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