石巻日日新聞

震災の労苦経て新船竣工 鈴幸漁業の第八明神丸

2017/3/1
 女川町鷲神の鈴幸漁業(株)(鈴木敬幸代表取締役)の遠洋マグロはえ縄漁船「第八明神丸」の新船(479トン、乗組員23人)が完成し2月25日、女川港で披露式が開かれた。船を見学に訪れた人々が、震災後も活躍してきた旧船の労をねぎらうとともに、より生産性の高い遠洋漁業の実現への取り組みも担う新船に期待を寄せた。
 同社は震災前、オーストラリア西側のインド洋を漁獲海域とし、気仙沼港を母港に3隻体制で操業していた。震災時、同港に係留されていた2隻のうち1隻が焼損し使用できなくなり、もう一方は津波で陸に打ち上げられた。しかし、沖合を航行中だった旧船の第八明神丸は被害を免れた。
 陸に打ち上げられた船は平成23年8月に復旧し、25年1月には焼損した船の新造船も操業を開始。それまでの間、第八明神丸は他船の不在をカバーする形で操業していたが、船体にかかった負担は大きく、修繕コストが膨らむようになったため新船建造を決めた。
 25日にはホテル華夕美で、行政や商工業関係者ら約100人を招いての竣工祝賀会を開いた。鈴木社長は「皆さんの支えのもとで3隻体制に戻ることができた。成すべきことは山積しているが、新しい船、体制のもとで社員と船員一丸となり取り組んでいく」と力を込めた。
 新しい第八明神丸は計器類や冷凍機などの設備を最新のものに一新。作業効率化が図られるとともに鮮度保持能力が向上し、船員たちも長期の航海をより快適に過ごせるようになった。
 同船は水産庁の「がんばる漁業復興支援事業」を活用。約8億円の建造事業費や、今後3年間の運航にかかる費用などのうち、3分の2程度が補助でまかなわれる。
 がんばる漁業は漁船漁業について、収益性の高い操業体制への転換を目指すもの。同船も燃油費削減や魚価向上、地元での流通促進、6次産業化などの試みの実証船として活用されていく。

【写真】女川港に係留された新しい第八明神丸

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