震災から間もなく6年 犠牲者遺族の痛み今も
石巻日日新聞 2017年3月4日(土)■石巻仏教会幹事の北村さんに聞く
東日本大震災から丸6年になる今年の3月11日、仏教では七回忌にあたる。未曾有の大災害による死者・行方不明者は12都道県で約1万8千人。犠牲者の数も膨大だが、大切な家族や友人を失いながらも今を生きる人がそれ以上にいる。残された人の心の痛みは簡単に癒えるものではないが、七回忌をどのような心で迎えるべきなのか。石巻仏教会幹事で、法山寺=石巻市湊=の北村泰秀住職(69)は「亡くなった人の供養の日であるとともに自分を見つめ直す日」と説く。(熊谷利勝)
■七回忌 自分を見つめ直す日に
多くの人が知っての通り、仏教では故人の一周忌が終わると、三回忌、七回忌、十三回忌と、亡くなった年から数えて3と7のつく年忌に法要が行われる。四十七回忌以降は五十回忌、百回忌などとなるが、一般的には三十三回忌や五十回忌を区切りにする場合が多いようだ。
一般に時間が経つと記憶も薄れ、遺族の心の痛みも和らいでくる。ただ、忙しい現代、毎日仏壇に手を合わせる人はどれぐらいいるだろうか。普段の生活では故人のことをあまり考えないし、自分が生きていることを感謝する人はまれだろう。
年忌法要は故人や先祖に目を向ける機会になる。「あの世に旅立った人は、生きている人を見守っています」と北村住職。だからこそ、亡くなった人に心配をかけないように自分の生き方を見直す日だという。
「男性なら黒いネクタイをして襟を正す。普段と違う装いが、いつもと違う気持ちにさせるはず。お墓参りをすれば、先祖や親のおかげ様の人生だと思うでしょう」。年忌法要に限らず、そんなありがとうの気持ちが起きるのが命日である。
「どんな亡くなり方でも悲しみを伴う。でも、悲しみだけでいいのでしょうか」。北村住職はよく、このような秘めた思いを法話にする。「故人を思うとき、あんなところが優れていた、自分にないものを持っていたことなどに気づき、人生に生かしてほしいのです」と願ってのことだ。
仏教では、通常門の脇にお釈迦様の教えの門がある。つまり、人としての生き方で大事なことは、すぐ身近にあるということ。それに気づけるか否かだ。
北村住職は言う。「人生はいつ何時どうなるか分からない。それに気づくことができれば、自分の命や人生も大事にするし、他人のそれらにも敬意を払えるようになります」
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震災で最も被害が大きい石巻地方。2市1町で4799人が亡くなり、今も696人が行方不明のままだ。遺骨は見つかったが、遺族のもとに帰れないのも39ある。そのほとんどは身元の特定に至っていないためだが、中には引き取る人がいない場合もあるようだ。また、その後の避難生活で体調を悪くするなどした震災関連死は362人にのぼる。
北村住職は「震災で身内を失う衝撃は病気のそれに比べて大きく、遺族の痛みの和らぎ度合はまだまだだと思います」と気遣う。とくに震災直後の混乱期には普段通りの供養ができなかっただけに「穴埋めではないが、小さなことを積み重ねていくように、供養の心を続けて下さい」と話していた。
【写真】「故人は見守ってくれています」と心の持ちようを説く法山寺の北村住職
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