石巻日日新聞

静かな祈りに包まれて 東日本大震災 6年目の3月11日

2017/3/11
 まためぐってきた3月11日。石巻地方は深い祈りに包まれた。思い出したくない、だけれども忘れてはいけないあの日。月日の経過とともに地域の様子は大きく変わったが、海に向かって手を合わせるとよみがえるのは、あの日に別れたままの一人一人の元気な姿、優しい眼差しだ。「遠くからいつまでも見守っていてほしい」と願い、また静かに手を合わせる。東日本大震災から6年の今日も、時間は確かに刻まれていった。

■2市1町 震災犠牲者5495人 現在も696人が行方不明
 東日本大震災による石巻地方2市1町の死者は1月末現在4799人で、いまだに696人が行方不明となっている。また、避難生活で体調を悪くするなどした震災関連死も362人にのぼる。

 石巻市および東松島市、女川町の人的被害は次の通り。
【石巻市】
 市内で被災した死者数3278人、うち市民3055人
 平成23年3月11日現在の住民基本台帳上(津波以外で亡くなった人も含め、外国人は含まず)の死者3181人、行方不明419人関連死274人

【東松島市】
 市内で被災した死者数1067人
 震災で亡くなった市民1044人、行方不明24人、関連死66人

【女川町】
 震災で亡くなった町民574人、行方不明253人、関連死22人


■天まで響け 鎮魂の鐘 普誓寺
あの日に心を寄せて鐘を鳴らした(11日午前8時45分)
あの日に心を寄せて鐘を鳴らした(11日午前8時45分)

 石巻市中浦二丁目の普誓寺で11日、東日本大震災の犠牲者に捧げる「鎮魂の鐘」が行われた。がれきの中から見つかった同寺の半鐘を打ち鳴らし、七回忌を迎えた中で静かに手を合わせた。

 重吉興業(株)=同市門脇=の従業員らを中心に組織する地域貢献団体「重吉ACE(エース)」の主催。同寺の駐車場にパイプ組の仮設台を設け、吊るされた半鐘に向かって木づちを振った。

 震災犠牲者、行方不明者は3県を中心に約1万8千人。午前6時から市民が入れ替わりで犠牲者の数だけ鐘の音を響かせた。上釜で被災し、蛇田のみなし仮設住宅で暮らす齋藤晴子さん(76)は、亡き恩師と義弟に思いを寄せた。

 齋藤さんは「今日は亡くなった皆に会いたい気持ちが強い。昨夜の雪は「あの日」を思い出させた。『忘れないでね』と言わんばかりに。忘れるわけないのにね」と話した。

■追悼のつどい 灯ろう3600個 変わる地域 変わらない思い 2代目看板前
訪れた人が手を合わせた(11日午前9時50分ごろ)
訪れた人が手を合わせた(11日午前9時50分ごろ)
 石巻市南浜町の「がんばろう!石巻」看板前では11日、「東日本大震災追悼3・11のつどい」が行われた。

 市内外から訪れる多くの人に震災を伝えてきた看板は、平成32年度に完成する石巻南浜津波復興祈念公園内に昨年4月に移設。現在の2代目看板は整備が進む高盛土道路を見守り続けている。また、南浜町や門脇町の風景も大きく様変わり。復興公営住宅への入居が進み、かつて生活した住民たちが戻ってきた。今月19日にはまちびらきが行われる。

 震災犠牲者の命日にあたる11日は、午前9時に献花台が設置されると、地域住民や県外から訪れた人々が手を合わせて看板を見つめ、1年前とは異なる周辺の景色を確かめていた。

 追悼のつどいの会場には市内外の約200人が制作した3600個の灯ろうを設置し、午後4時半から灯をともす。6時半からは追悼花火を打ち上げる。

 つどいの実行委員長の黒澤健一さん(46)は「復興が進んでいく一方で、まだ多くの人々が苦しい思いを胸に生活している。今日は追悼の思いを込め、静かに祈りを捧げる日にしたい」と話していた。

■高台公園で慰霊碑除幕 犠牲者悼み教訓刻む 上釜町内会
慰霊碑に献花した遺族(11日午前11時50分頃)
慰霊碑に献花した遺族(11日午前11時50分頃)
 石巻市の上釜町内会(鈴木喜美男会長)は11日、新館二丁目に整備された上釜誓いと伝承の公園で、東日本大震災で犠牲になった住民を悼み地域再生を誓う慰霊碑を除幕した。
 慰霊碑は約5.5メートル四方で、市が周辺より高く盛って整備した公園にある。碑の後方で重なる2枚の石が押し寄せた津波をイメージし、頂点はこの付近の浸水痕跡と同じ海抜4.8メートルの高さ。向かって右側に犠牲者をしのぶ慰霊の句、左側には「橋を渡れば命は守れっど」などの警句を刻んだ。

 震災で約200人が犠牲になった同町内会は、遺族や町内企業などの協力を得て約400万円をかけて建立。慰霊碑には、了解が得られた161人分の芳名を記した。

 慰霊碑はかつての住民を含む約300人が見守る中で除幕され、鈴木会長(74)は「教訓を後世に語り継いでいくことを御霊の前で固く誓う」と追悼の辞を述べた。祖父母を亡くした釜小5年の阿部充樹君(11)とおばの阿部真理子さん(47)が「これからも見守っていて」「懐かしい人を思い出せる場所になる。七回忌に建立されたことにお礼を言いたい」と遺族代表のあいさつをした。

■待つ人へ わずかでも 手掛かりを 長面の林野で集中捜索 河北署
地面に目を凝らし黙々と捜索を進めた
地面に目を凝らし黙々と捜索を進めた
 震災から6年となるのを前にした10日、河北署は石巻市の長面地区で行方不明者の捜索を行った。同署管内では現在も181人の行方がわかっておらず、署員7人はわずかでも行方不明者につながる手がかりを求めて捜索を進めた。

 この日の捜索箇所は、長面浦南側湾岸線の林野帯約1500平方メートル。同湾周辺では震災後に複数回の捜索活動を行っているが、今回の林野帯を集中的に行うのは初めて。

 同地帯は台風などで水位が増した場合にも浸水がある箇所。署員たちは隣接する山の斜面に至るまで、朽ちて堆積した木の葉や枝をレーキで掘り起こし、かき分けていった。

 同署の及川貴亨地域課長は「震災から6年に当たり、手掛かりを待つ人々も月日をより強く実感していることと思う。そうした思いに応えるためにも、誠心誠意捜索を続けていく」と話していた。

 なお、同日には石巻署も金華山で行方不明者捜索を実施した。

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