石巻日日新聞

青い鯉のぼり 思いはらんで空泳ぐ 大曲浜 太鼓の音色で追悼

石巻日日新聞 2017年3月13日(月)

 震災犠牲者への追悼と地域復興への思いを込めた青い鯉のぼりが11日、東松島市の大曲浜新橋と、同市矢本の萬寶寺周辺に掲げられた。計約150匹の鯉のぼりが、寒風も味方につけて元気に3月の空を泳いだ。

 震災当時に同地区に住んでいた伊藤健人さん(23)が、津波で亡くなった弟の律君(当時5)を思って始まった「青い鯉のぼりプロジェクト」の一環。23年から毎年子どもの日、24年からは3月11日にも鯉のぼりを掲げている。

 プロジェクトは伊藤さんの思いに賛同する人々の協力で運営されており、鯉のぼりも全国から寄せられた。11日には正午ごろからプロジェクトメンバーや地域住民ら約30人で設置した。

 昼過ぎからみぞれが降り始めた。大曲浜新橋で、伊藤さんは集まった約150人を前に「この日はいつもこんな天気。嫌にもなるが、家族はもっと寒い波にもまれた。頑張らなくてはいけない」とあいさつ。地震発生時間に合わせて参加者と黙とうした後、所属する「和太鼓ユニット閾」とともに鎮魂の音色を響かせた。

 なお、同市野蒜の市震災復興伝承館には、プロジェクトを開始当初からさまざまな形でサポートしている人気ロックバンド「GLAY」の、オリジナル鯉のぼりが9日から掲示されている。

【写真】犠牲者に向け、伊藤さん(左端)らが太鼓の音色を響かせた

最終更新:2017年3月13日(月)

新着記事