石巻日日新聞

行方不明者捜索 今もなお 女川湾潜水

石巻日日新聞 2017年3月15日(水)

 東日本大震災から6年が経過した14日、宮城海上保安部は女川町石浜の岸壁周辺の海域で行方不明者の潜水捜索を行った。海底で見つかった冷凍車両の底などをくまなく調べ、ナンバープレートを発見したが、不明者の手掛かりにはならなかった。
 同保安部は遺族の要望を受けて定期的に海中捜索を実施している。今回は津波で一人娘の成田絵美さん(当時26)が行方不明となっている博美さん(57)らの要望で行った。「巡視船くりこま」を拠点に、7人の潜水士が捜索を進めた。
 水深は9メートルでこの日の水温は約6度。潮の流れがあるためか、ヘドロの堆積は数十センチほどと少量だった。海底には震災で水没したとみられる小船や冷凍車両のパネルバンが沈んでおり、車内や車両の底などを重点に調べた。
 一方で、震災後の復旧・復興工事に伴うものとみられる比較的新しいはしごや金網、アルミ製の柵なども堆積。50分間継続して潜り続け、被災車両のナンバープレート(宮城ナンバー)はあったが、行方不明者につながるものはなかったという。
 捜索後、潜水士がくりこま内で前日に撮影した海底の状態を遺族に示し、「今後も定期的に捜索し、情報提供していきたい」と語った。成田さんは「震災から6年という区切りは私たちにはない。雲をつかむ話だが、諦めたら終わり。海保の方々の力を今後も借りたい」と語っていた。

【写真】保安部員が手掛かり発見の可能性を信じ、潜水捜索した

最終更新:2017年3月15日(水)

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