女川「いのちの教科書」完成 震災の教訓 未来の同世代へ
石巻日日新聞 2017年3月22日(水) 1千年後の命を守ろうと、女川中卒業生有志が手掛けた「いのちの教科書」がこのほど完成し、18日に女川フューチャーセンターCamassでお披露目会が開かれた。東日本大震災当時の様子や生徒たちの心境、津波避難対策などについて一冊にまとめたもので、自費出版で300部を製作。今後、町内の小中学校などに配布する。
教科書を製作したのは震災当時小学6年生で、数週間後に女川中へ入学した64人。翌年の社会科の授業で、自然災害などから命を守る手段について話し合った。その結果、ただ記録に残すのではなく、“教科書”として小学1年生から段階的に学べるものをコンセプトに活動をスタートさせた。
卒業後は有志による「女川1000年後の命を守る会」(阿部由季会長)が引き継ぎ、計107回もの会合や合宿を重ねて掲載内容を決めてきた。
構想から5年かけて完成させた教科書は、B5判63ページで、項目は社会、理科、国語、道徳などの教科別に分けられている。
社会では(1)絆を深める(2)高台へ避難できるまちづくり(3)記録に残す―の3つの津波対策案を提示。理科は地震のメカニズム、道徳は生徒たちの言葉で震災当時の状況を振り返り、命の大切さや当たり前に流れる日常の重要性を説いた。また、項目の最後には「もし地震が起きたら」など設問も加えた。
18日のお披露目会には、同会から会長の阿部さんら9人が出席し、須田善明町長や村上善司教育長に教科書を手渡した。メンバーはこの春高校を卒業し、それぞれに新たな道を進む。阿部さんは製作過程での苦労や思いを語った上で、「教科書の完成がゴールではなく、スタート」「1千年後の命を守れてこそ意味をなす」「まだまだやることはたくさんある」など今後も伝承に向けて活動する決意を語っていた。
【写真】完成した教科書を須田町長らに渡した
新着記事
-
石巻市議会定例会は28日の本会議で、追加提案された本年度の補正予算案を審議した。新型コロナウイルスへの対応をただす関...(続きを読む)2020年3月2日(月) 11時05分
-
政府が26日に新型コロナウイルスの感染拡大防止へ今後2週間の催しについて中止・延期または規模縮小を要請したことを受け、...(続きを読む)2020年3月2日(月) 11時03分
-
石巻市は28日、新型コロナウイルス感染症対策本部(本部長・亀山紘市長)の第3回会議を市役所で開き、首相の要請に基づき市...(続きを読む)2020年2月29日(土) 10時58分
-
石巻市議会定例会は27日、本会議で新年度の一般会計など予算案を審議した。予算案に関連して空席となっている第2副市長の選...(続きを読む)2020年2月29日(土) 10時53分
-
石巻市立蛇田小学校は26日、溶接などを手掛ける同市大街道東の(株)宮富士工業(後藤春雄社長)で、ものづくり体験を行った...(続きを読む)2020年2月28日(金) 9時16分
-
地域の未来を考える紙面企画「次代への軌跡」では18日から5回、主に石巻市内の中学校に焦点を当てた「部活動の選択肢」をテ...(続きを読む)2020年2月27日(木) 13時03分
-
東松島市は25日、新型コロナウイルス感染症対策本部会議(本部長・渥美巖市長)を開き、要請を受けた大崎市と涌谷町にマス...(続きを読む)2020年2月27日(木) 10時01分