宮戸・げんちゃんハウス 惜しまれながら店じまい
石巻日日新聞 2017年3月27日(月) 震災後、東松島市宮戸地区で地域自慢の味を提供してきた食堂「げんちゃんハウス」が26日に閉店した。地域の復興進展につれて利用していた工事関係者らの足が遠のき、売上減少となったのが理由。地域住民や、これまで復興支援のボランティアで同地区に訪れた人々に見守られながら涙の店じまいとなった。
宮戸市民センター(奥田邦行所長)を運営主体とした同食堂は平成24年11月、震災により家業の民宿を失った3人の女性がスタッフとなって被災した奥松島縄文村歴史資料館の施設を改修してオープンした。地元の新鮮な食材を使った味が地域住民をはじめ、復興支援ボランティアや建設工事関係者らの人気を集めてきた。
最盛期には年間700万円を超える売上を記録したが、地区の復興が進むにつれて客数も売上も減少。店舗運営の継続が困難となったことから閉店を決めた。
26日は、宮戸の新鮮な食材を使ったランチを味わおうと次々と客が訪れ、「しらうお天ぷら定食」や「カキフライ定食」を注文。普段の約3倍となる約180人が来店した。
また、屋外に設置したテントでは、店のフィナーレを飾ろうと、これまで同地区を訪れたボランティアらによるラーメンの提供もあった。1杯100円で販売し、用意した100杯は開始から2時間半で売り切れた。
仙台市若林区から訪れた木村正明さん(58)は「季節の食材を味わいに2―3カ月に一度、来ていた。安くてボリュームたっぷりの味が食べられなくなるのは残念」と閉店を惜しんでいた。
奥田所長は「感無量。試行錯誤を繰り返しながら、地域の旬の食材を届けてきた。今後も、ここで築き上げたつながりを大切にしていきたい」と語り、これまでの利用に感謝を込めていた。
【写真】奥田所長(右端)が感謝を込めて閉店のあいさつ
最終更新:2017年3月27日(月)
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