石巻市立病院ひと筋20年
石巻日日新聞 2017年4月1日(土) 石巻市立病院に開院時から20年勤務し、このうち13年間病院長の職にあった伊勢秀雄氏(67)が、3月31日で退職した。65歳の定年を2年延長しており、同病院の再建を区切りとした。市は長年の功績をたたえ、「名誉病院長」の称号を授与した。
伊勢氏は昭和24年5月石巻市生まれ。東北大医学部卒の外科医で、市立病院には平成10年1月の旧病院開院を前にした9年4月に外科部長として着任した。11年度から副病院長、16年度に病院長となり、経営改善に努めたが、旧病院は震災で被災。新市立病院の移転再建にあたっては、関係機関との調整に尽力した。
亀山紘市長は31日、「長い間の勤務に感謝している」として、名誉病院長の称号を授与。伊勢氏は市立病院で退任あいさつし、「医療職は賛辞も批判も受けるが、事務職は批判しか受けない。事務職あっての医療であり、チームワークで新病院を外側だけでなく中身を良くしていってほしい」と託した。
「絶対に再建」強い思い
伊勢氏は今月から週2回、寄磯診療所に嘱託勤務し、引き続き石巻市の医療に携わる。新旧2つの市立病院の開院に立ち会った伊勢氏に、これまでの20年間などを一問一答で答えてもらった。
―20年間に特に印象が深いのは。
伊勢氏 震災が一番。その前年に職員一丸で経常収支を黒字にし、ようやく軌道に乗ったところだったので悔しかった。その後は医療圏が混迷しないよう、絶対に再建させなくてはとの思いだった。
―伊勢氏にとっての石巻市立病院は。
伊勢氏 医者人生のすべて。医学部の先生だったので、外の病院は市立病院が初めてだった。
―新しい市立病院は患者数が伸び悩み、産婦人科や小児科の新設も要望されている。
伊勢氏 新しく診療科を増やすことは必要。ただ、産婦人科は医師不足や日本全体の方向性、小児科も新生児の対応を考えたときは難しい。先週から療養の入院の受入れも始まっており、患者数の増加は時間の問題と思う。
―今後の市立病院に望むことは。
伊勢氏 市民にやさしい病院であってほしい。また、地域包括ケアは石巻だけでなく全国に必要であり、積極的に関与すべき。陰ながら応援し、時には相談に乗りたい。
【写真】退職のあいさつを行い、職員から花束を受け取った伊勢氏
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