石巻日日新聞

震災で家族亡くした子の憩いの場 こころスマイル新施設

石巻日日新聞 2017年4月19日(水)

 震災で家族を亡くした子どもたちの心の負担を減らすことを目的とした一般社団法人こころスマイルプロジェクト(志村知穂代表理事)の新施設が15日、石巻市蛇田土和田山に誕生した。開所式では、テープカットや風船を飛ばすなどしてオープンを喜び合った。施設名は今後、子どもたちで考えていく。

 震災により親や兄弟など家族を亡くした子どもと、その保護者らを支える活動を展開する同プロジェクトは、平成26年12月に同敷地内に親同士が語り合える場の「こころスマイルハウス」を開設。28年1月には子どもたちがデザインを考えた手作り遊具の公園「スマイルパーク」も整備した。

 新施設は、東京都の企業や財団、基金などの協力を得て購入したトレーラーハウスを活用した。室内にはボルダリングや隠れ家的なロフトなどを設け、子ども同士での遊びを楽しむことで親や兄弟などを失った悲しみの軽減を図る。また、スマイルハウスとの組み合わせで親と子どもを分けての相談も可能となる。

 子どもたちが悩みや心境を個々のタイミングで語れるよう専用の部屋も設けており、ファシリテーター講習を受講した地域の大人たちが聞き手となる。利用は原則週1回(土曜か日曜)。

 開所式で志村代表は「日本ではグリーフ(悲しみ)ケア自体あまり知られていない。震災後に単発的な支援はあったが、本来地域で持続的に取り組む必要がある。今日がそのスタート」と語り、プロジェクトに参加する子どもたちも感謝の言葉を語った。テープカットに合わせ、色鮮やかな風船と、出席者が夢を記入したハート型バルーンも大空に飛ばした。

 今後は29日午前11時からプロジェクト第1弾として、同敷地内でのお花見バーベキューイベントを開く。対象は震災で家族を亡くした子どもとその保護者となり、参加無料、締切りは26日。問合わせは志村さん(電話090―5595―7200)まで。

【写真】テープカットや風船を飛ばすなどして開所を祝った

最終更新:2017年4月19日(水)

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