石巻日日新聞

宿泊トレーラーハウス32棟 エルファロ 女川駅前に移転

石巻日日新聞 2017年5月12日(金)

 東日本大震災後に女川町でトレーラーハウス宿泊村を営業してきた「ホテル・エルファロ」が、今年8月にJR女川駅エリアへ移転する。女川温泉ゆぽっぽやシーパルピア女川に近い好立地となり、観光客の利便性が高まるとともに、駅前のにぎわい創出に拍車がかかることが期待される。9日に安全祈願祭があり、(株)エルファロの田中雄一朗支配人(30)は「女川の玄関口のホテルとして、町の魅力を発信したい」と意気込んでいた。

 震災後の女川町は、観光客や起業家、ボランティアらが多く訪れるなど交流人口が増加した。しかし、宿泊施設が乏しく、訪問者の多くが石巻や仙台に宿泊するなど滞在人口は低い状況だった。 そうした中、運営していた旅館が震災で全壊したオーナーたちが協同組合を設立し、平成24年12月に清水地区の町営住宅跡地に女川トレーラーハウス宿泊村(ホテル・エルファロ)をオープン。「スタート女川」をスローガンにこれまで多くの観光客らを受け入れてきた。

 それから5年が経過し、清水地区の土地契約が満了を迎えるのに伴い、関係者が移転先を検討。利便性向上のため駅西側の町有地への移転を決めた。敷地面積7324平方メートルで、町条例の付則特例に基づき、5年間無償貸与となる。

 新しいホテルはトレーラーハウスを活用した宿泊棟計32棟63室のほか、レストラン棟3棟、厨房棟1棟、フロントや管理棟など4棟(延床面積計1421平方メートル)で構成。配置デザインも考え、広々とした敷地を生かしてパルク(公園)や6カ所にバーベキューやたき火ができるパティオ(中庭)も設ける。受け入れ可能人数は195人で、移転初年度は1万7千人を見込む。

 移転事業費は約1億4千万円。このうち8千万円は県観光課から被災沿岸部の交流人口拡大モデル事業として補助金の交付を受ける。

 交通利便性が良く、観光客がマリンスポーツやトレッキング、食べ歩きを行う際の拠点にできると期待が寄せられている。

 清水地区での営業は8日で終了し、移転作業に入った。移転後に(株)エルファロ社長となる田中支配人は「女川駅近くの宿泊施設として新設するので、町の顔となるよう従業員一同で頑張りたい」と語っていた。

 今後は6月中旬ごろからトレーラーハウスの移動を開始し、8月上旬のオープンに向け準備を進めていくという。

【写真】エルファロが移転する女川駅前の予定地

最終更新:2017年5月12日(金)

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