石巻市 貸付総額は63億円超 据置期間経て回収へ 戦々恐々
石巻日日新聞 2017年5月19日(金) 石巻市が東日本大震災の被災者に貸し付けた災害援護資金は、6年間の据え置き期間を経て6月から償還が始まる。阪神・淡路大震災の被災地では借受人の死亡や破産などで多額の未回収や償還の遅滞が生じているだけに、貸付総額が63億円を超える市は戦々恐々としている。
同資金は世帯主が負傷した世帯や住宅、家財に損害を受けた世帯に対して、最大350万円を貸し付ける国の制度。返済は6年または8年間据え置くことができるが、どちらも貸付開始から13年で償還しなければならない。
各市町が国、県から借り入れして実施しており、石巻市は平成28年度末現在、3027件63億5631万7000円を貸し付け。県内では仙台市に次いで2番目に多い額だ。
利率は年1.5%(据置期間経過後)で、連帯保証人がいれば無利子となる。被災者の生活を早期に立て直すことを目的としており、所得の上限はあっても下限はない。
石巻市では連帯保証人なしの貸付がかなり多い。住宅再建に伴う貸付が主で、23年度だけで2380件49億円余りあった。
繰り上げ償還も可能だが、現時点での返済は全部が182件、一部218件の計4億9736万4785円にとどまる。回収できなければ市が肩代わりすることになるが、自己破産も十数件あるという。償還にかかる経費も自治体負担だ。
そもそも一定所得以下を対象としているため、無理に回収しようとすればかえって生活を苦しくしてしまう。償還は年賦または半年賦で、最大350万円の借入金を今年から7年で返すとなると年50万円にのぼる。
市は不公平にならないようあくまで償還してもらう姿勢を崩さないが、阪神・淡路大震災の例と同様に、返済が困難な人には時間をかけても少額な返還ができるよう市長会などを通じて国に要望していく考え。また、償還免除要件に生活保護受給者や破産手続きによる免責を受けた場合も加えるよう求めている。
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