万石浦産アサリが震災後初出荷 地域の特産品復活の一歩
石巻日日新聞 2017年5月26日(金) 東日本大震災による干潟の地盤沈下で収穫できなくなっていた石巻市の万石浦産アサリが26日、震災後初出荷された。県漁協石巻湾支所が、県の造成した干潟で収穫した。以前並みの量とはいかないものの、特産品の復活は大きな一歩。収穫は資源状況を考慮しながら6月まで行う予定で、今後は漁場回復とブランド化に取り組む。
県漁協の石巻湾、石巻地区、女川の3支所の管轄範囲をまたぐ万石浦では震災前、干潮時で湾内の6分の1ほどに干潟が表出。湾の豊富な栄養素は良質なアサリを育み、3―5月を最盛期に干潟で行う収穫風景は、この時期の風物詩だった。
しかし、震災で湾内が地盤沈下し、さらに砂が押し流されたことで、干潟がまったく表れなくなった。そのため、県では事業費24億円を投じ、国の補助を活用した復旧事業で湾内各支所に計7・7ヘクタールの干潟を造成。25年から段階的に進め、昨年度に完了した。
今回、収穫を行ったのはこのうちの石巻湾支所管内3・8ヘクタール。同支所では平成24年から産官学の協力のもと、湾内に残っていたアサリからの人工採苗や、自然繁殖した資源の管理などに、青壮年組合員の研究会を中心として取り組んできた。
これらを経て昨年6月には試験採取を実施。さらに今月16日の成育状況調査で出荷に十分な資源量と成長が確認されたことから今回、再出荷へと臨んだ。
26日は石巻湾支所の組合員計約130人が収穫作業に当った。サイズは震災前よりも小ぶりだったが、支所の主要取扱い品目の復活に組合員たちは喜びの表情を見せた。収量が以前より少ないことから、取引は特定の業者と価格調整する相対方式で行い、県内の一部スーパーに並ぶ見込み。
同支所磯根部長の齋藤幸一さん(56)は「収穫風景を見ると感無量。県内で店頭に並ぶアサリは西日本産が中心だが、地元のものを食べてもらえるよう、漁場回復に努めていく」と力を込めた。
再出荷には至ったが、同支所管内の干潟は震災前の10分の1ほどの面積。平成21年に1シーズン(3―7月)で33トンあったのと同等の収穫量は望めない。そのため、県漁協ではブランド化に挑戦し、収穫量が少ない中でも付加価値を高めるなど組合員の経営安定につなげる。また、効率的な流通体制の確立も探る。
一方でアサリを捕食する貝の、サキグロタマツメタの駆除についても震災前からの課題。これへの対応を含め、さらなるアサリの定着と増殖を図る。
【写真】出荷に向けた万石浦アサリの収穫に笑顔を見せる組合員
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