被災地のママを応援…助産師が無料ケア相談
2012/2/4

 ほんだ母乳育児相談室=東松島市小松=は、被災地で子育てしている母親を経済的・精神的に応援しようと、日本財団の助成を受けて母乳ケアや育児指導を無料で提供する事業を行っている。同じ震災を経験した母子が顔を合わせることもあり、心の疲れをいやす場にもなっている。


 有志の助産師でつくるみやぎげんき助産師チームMIJO(ミジョ)の被災地の母と子げんき事業。県内13の助産院で外来ケア、出張ケアが3回まで無料で受けられる。対象は震災の日から昨年末までに妊娠、子育てをしていた母親。すべて予約制で、期間は3月末までとなっている。


 石巻地方では「ほんだ母乳育児相談室」だけの実施。口伝えで広まり、1月3日から延べ37人が利用している。1人1時間で、外来のみの受け付け。助産師の本田由美さんが子どもの体重測定から母乳を出やすくするためのマッサージ、授乳指導、授乳卒業後のケアを行う。別の支援制度を活用すれば、最大6回分が無料になる。


 石巻市中屋敷の福地若緒さん(41)は5男の永都君(11か月)と利用。若緒さんは「家をリフォームしたばかりなので、経済的に助かります」と、盛んに歩き回る永都君をあやしながら話していた。


 昨年3月の震災時、2人は自宅に居た。若緒さんは防災無線が聞き取れず、津波が来ることを知らなかったという。地震後の家の片付けをしている最中、トイレの水が逆流。異常を感じて永都君を抱きかかえた瞬間に津波が家に押し寄せ、体が浮き上った。


 水はサッシの上まで到達。若緒さんは永都君を抱え、ダイニングのイスを竹馬代わりにして2階に避難した。一家全員が無事だったが、避難所と仮設住宅で9か月生活。昨年末に修理を終えた自宅に戻ってきた。


 避難所では子どもの夜泣きが心配されたが、母乳を与えると泣き止んだ。改めて母乳育児の大切さを実感したときだった。物資が不足していた当時、母乳育児の良さが見直されたが、うまく母乳が出ずに逆にストレスになったケースも伝えられている。


 別の石巻市内の女性(40)は、2か月の長女を母乳で育てたいと、産科医院の紹介で通い始めた。仕事が休みだった震災の日、沿岸部の高台にある実家にいて難を逃れたが、勤務先は津波で流され、同僚、利用者も犠牲となった。夫になるはずの男性も震災で亡くなり、未婚のまま母親になった。


 抱えきれないほどの不安が彼女を襲ったが「周りの助けがあって無事出産できた」と感謝。子どもはまさに宝であり、同じ世代の母親と話すことで心がやすらぐ瞬間を実感していた。


 助産師の本田さんは「震災をくぐり抜けたお母さんたちも、精神的に経済的にも疲れています。無料ケアを上手に活用してほしい」と呼び掛けていた。


 問い合わせは同相談室(カ83―3597)。




 【写真】 母乳ケアや育児相談を無料で受けられる事業が行われている(ほんだ母乳育児相談室)

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